ちいさなぺや

幸せを感じるときはベッドに潜り込む瞬間です

「ねぇ、委員長」


『ねえ、委員長』

著:市川拓司




3つの短編が収録されている。

すべて恋愛物。


1つめは「Your song」

走ることが得意な女の子と歌うことが大好きな男の子の話。


2つめは「泥棒の娘」

引っ込み思案な男の子と絵を描くことが好きで謎に包まれている女の子の話。


3つめは「ねえ、委員長」

絵に描いたような優等生の女の子とダイヤの原石の男の子の話。




 この本を読み終えた時の幸福感はそうそう味わえるものじゃない。

 恋愛っていいなあ、と素直に思える。

 小説でもマンガでも心の底からそう思える作品って少ない。

 「ねえ、委員長」が違ったのは登場人物が全員魅力的でキラキラしていたからだろう。

 キラキラと言っても、スクールカーストの上位勢みたいなキラキラ(?)ではなく、頑張ってる人から発せられるキラキラだ。

 3つとも主人公たちはそれぞれのものに立ち向かっている。

 頑張りの度合いで言うと、特に「ねえ、委員長」がすごい。

 委員長と鹿山くんが頑張る理由にもキューッとなる。



 それから、恋敵も魅力的なのがとてもいい。

 少女漫画だとライバルが主人公をいじめたりする胸糞悪い展開が多いけれど、この本ではそういうことは全くない。

 「Your song」の吉川さんが特に最高。

 絶対天使みたいに可愛いはず。


 
 そして、恋愛小説には不可欠なキュンとくるポイント。  

 これもきちんと散りばめられている。

 「Your song」だと練習の最終日、それから終業式の日の会話がたまらない。

 どちらもすごくまっすぐで、ひたすら青くて心をひっかかれたみたいな気持ちになる。

 「泥棒の娘」は二人で絵を描くシーンと彼女が残したメモ。

 二人の肘についての描写は主人公の気持ちと二人の距離感がよく表れていてキュンとしか言いようがない。

 「ねえ、委員長」は二人が河原を歩きながら約束するシーン。

 二人はとても強くて、だからこそ切ない。

 絵心があったらこのシーンの想像図を描いてたと思う。

 それぐらいロマンチックで切ない。

 女の子が男の子の髪を切る場面も好き。

 女の子は世界一の頑張り屋だけれど、それと同時に普通の女の子なことがわかる。

 
 それと、3つに共通しているのが冒頭と結末。

 とびきりワクワクする始め方、締め方だと思う。

 


あまりネタバレしないように書いたからわかりにくいけどよかったら読んでみてね。

私の中の最高の恋愛小説。

ねえ、委員長 (幻冬舎文庫)

ねえ、委員長 (幻冬舎文庫)